PERSIAN CARPET

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ペルシア絨毯情報

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◆メダリオン文様  Medallion design/トランジ

◆メダリオン文様  Medallion design/トランジ

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◆メダリオン・コーナー文様  Medallion corner design/ラチャック・トランジ

絨毯の構図上の場所となるが、絨毯の周辺を取り囲む太い縁枠はボーダーと呼ばれ、その内側はフィールドと呼ばれている。フィールドを取り囲むボーダーには大小があり、また、その位置関係によってメイン・ボーダー、サブ・ボーダーまたはガードなどと呼ばれる。メイン・ボーダーはぺルシア語ではハーシーイェhashiyeh、サブ・ボーダーまたはガードなど、少し細いものはトッレtorrehと呼ばれる。このペルシア語のハーシーイェには縁、端という意味のほかに注釈、脚注という意味があり、ここにフィールドの主題を補う文字なり図像なりの要素が配されることも少なくない。

 

ボーダーに充填されるものは、さまざまな花文やカルトゥーシュなどの反復柄、あるいは唐草文、相反文、幾何学文、文字文などの連続柄だが、フィールドに比べるとボーダーは副次的であったためか、産地特有の伝統柄といったものが残されており、古い絨毯の産地特定のひとつの目安となっている。ただ、近年ではそのようなローカル性も失われつつあるともいわれる。

 

フィールドは、絨毯の主要な空間を占め、ここに主題となる図柄、中心となる文様が織り込まれる。ペルシア語では、マトンmaton、本文という意味である。写本だとテクストのカリグラフィーと煌びやかなミニアチュールで埋められる部分にあたる。このフィールドの構図により、絨毯の形態的分類がなされる場合がある。例えば、次のような分類が考えられる。

① 中央集中的意匠…メダリオンなどの主文様を中央に置いて、絨毯の中心点から上下左右が相称となるような意匠。

メダリオン・コーナー・デザインやゴンバディー(モスクの天井)文様など。

② 一方向的意匠…アーチ型のメヘラーブ文の意匠や樹木文や花瓶文のように明らかに上下が判別できる方向性のある意匠。

③ 全体的意匠…いわゆる総柄、全体柄となる意匠で、あるモティーフが反復された意匠や格子枠が連続する意匠、

左右相称であっても上下に変化が存在する全体柄の意匠など。

④絵画的意匠…フィールド全体に図像が収められた意匠で、一方向的意匠ではあるが、装飾文様ではない絵画的表現の意匠。

これらは必ずしも明確に判別できない意匠があるので、厳格な区分法とは言えないが、ひとつの構図の区分けにはなる。

 
 
 
 
 
 
 
 
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ゴンバド文様  Dome design/ ゴンバディー

出典:ペルシアの絨毯工房

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メヘラーブ(ミフラーブ)文様 Mehrab design  /メヘラービー

樹木動物文様絨毯.png

木動物文様 Tree & Animal design / デラフティー・ジャーンヴァリー

出典:ペルシアの絨毯工房

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花瓶文様 Vase motif / ゴルダーニー

出典:ペルシアの絨毯工房

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連花葉文様  Allover design  / アフシャーン

出典:ペルシアの絨毯工房

庭園文様絨毯.パネル文様絨毯、png

パネル文様 Panel design / ヘシュティー

出典:ペルシアの絨毯工房

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コンパートメント・デザイン compartment design  / ガービー/ヘシュティー

出典:ペルシアの絨毯工房

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ジョウシャガーン・デザイン Jowshaghan design

出典:ペルシアの絨毯工房

反復花瓶文様 Repeated Vase design / ゼッロッソルターン

出典:ペルシアの絨毯工房

花鳥図  Flower and Bird design  / ゴロボルボル

出典:ペルシアの絨毯工房

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狩猟図 Hunting design / シェカールガー

出典:ペルシアの絨毯工房

ボテ反復文様 Repeated boteh design / ボテ・ミール

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トルクメン柄 Turkmen design /トルキャマーニー

 
 
 
 
 
 
 
 

ペルシア絨毯の代表的意匠 

中央集中的意匠

Centric design/マルキャズィー

 

フィールドの中心点から上下左右が相称となる構図の意匠をもつ絨毯。ペルシア絨毯の代表的意匠となっているもので、メダリオン・コーナー・デザインやメダリオン絨毯などがある。

 

①-1 メダリオン・コーナー文様  Medallion corner design

ラチャック・トランジ

クルアーン(コーラン)の装丁に由来するといわれるペルシア絨毯の代表意匠で、その基本形は、中央に1基、メダル様の大きな文様を置き、4隅のコーナーにその文様の4半分のパターン、あるいは類似デザインを配す。ちなみに、メダリオンとは「メダル様の」といった意味で、ペルシア語ではトランジ(toranj)と呼ばれる。コーナーは三角を呈することが多いので、英語でスパンドレルspandrel/spandril (三角小間、アーチの残余部)、ペルシア語でラチャク(頭に巻く三角布またはスカーフの意)とも呼ばれ、メダリオン・コーナーはペルシア語ではラチャク・トランジと呼称される。

-3.ゴンバド文様  Dome design/Sun burst

 ゴンバディー/ホルシーディー

ゴンバドとはモスクのドーム(丸屋根)のことを指す。タイルで飾られた半円球の天井を下から見上げたような放射状のデザインのメダリオン絨毯がこう呼ばれている。これは点対称図形でもあり、放射状の図形となっている。また、その放射状の展開が太陽(ホルシード)の光彩を意匠化したものとも考えられる、近年ブームとなった意匠である。

-2.メダリオン文様  Medallion design

 トランジ

コーナーをもたないメダリオン絨毯。遊牧民がつくる幾何学文様の絨毯には、魔除けや紋章に由来すると思われるメダリオンもあり、それらがいくつか並んだようなポール・メダリオンと呼ばれるタイプのものや、中心性が失われることもあるが、さまざまな反復メダリオンも見られる。また、フィールド部分が無地のものは、19-20世紀にアメリカで好まれたメダリオン絨毯で、メダリオン・プレーンmedallion plainと呼ばれる。

ペルシア絨毯の代表的意匠

 一方向的意匠 

One directional design

イェク・タラフェ

礼拝用として用いられるアーチ型の意匠をもつ絨毯をはじめ、樹木文様や花瓶文様など、方向性のある構図をもつ絨毯で、ペルシア語ではイェク・タラフェと呼ばれる。

 

②-1メヘラーブ(ミフラーブ)文様 Mehrab design  

メヘラービー / ミフラービー

アラビア語由来のサッジャーデと呼ばれるプレイヤー・ラグ、いわゆる礼拝用絨毯などに見られる意匠。このメヘラーブとは、モスクの中のメッカの方角(アル・キブラ=向かう方向)につくられたアーチ型の窪みのことで、壁がん(ニッチ)といわれるもの。このアーチをデザイン化したのがメヘラーブ・デザイン。もっともイスラーム的なデザインといえるもので、ランプや花瓶、樹木、柱廊などを伴うことが多い。凸型や階段状の角張ったデザインのメフラーブ絨毯もあるが、その多くは部族民の絨毯とされる。また、その逆に曲線が誇張された凸状起伏をもつ坊主頭のような「スルタンの頭」Sultan’s headと呼ばれるタブリーズやトルコに見られるメヘラーブ意匠もある。このメヘラーブ文がいくつか並んだ絨毯は、サッフとよばれている。

②-2.樹木文様 Tree design

 デラフティー

デラフトは樹木のこと。幹から左右に枝をのばす生命の樹あるいは聖樹として絨毯に登場する。樹木には元来、神聖な力が宿るとされ、繁栄、成長、再生の願いが込められている。生命の樹の様式化された構図は、一般的に左右相称であるが、イランでは曲がりくねった写実的な樹木に鳥が飛び交うような楽園的表現のものも多く見かける。

②-3.花瓶文様 Vase motif 

ゴルダーニー

ペルシア絨毯にはよく花や樹木が差し込まれた花瓶のモティーフが描かれるが、これはとりもなおさず生命の源となる水を象徴するものである。ペルシア語ではゴルダーニーと呼ばれるが、この花瓶文が反復して用いられる絨毯は、ゼッロッソルターニーと呼ばれている。花瓶のモティーフは、中国陶器の影響があり、イル・ハーン朝からの伝統と考えられている。しばしばメヘラーブとともに用いられ、メヘラーブ・ゴルダーニー(メヘラーブ花瓶文)と呼ばれている。古典的意匠である花瓶文様とは、用語としてはまったく異なるものである。

ペルシア絨毯の代表的意匠

③ 全体的意匠  

Allover design / サラーサル

いわゆる総柄、全体柄となる絨毯である。これザイン、あるモティーフが反復されるなど、その反復の規則性もまちまちで、さまざまな意匠が含まれ、必ずしも対称性をもつとは限らない。

 

③-1連花葉文様  Allover design  

アフシャーン

これは、総柄文様の絨毯のデザインで、メダリオンやミフラーブのような構図をもたず、フィールドと呼ばれるボーダーより内側の部分全体に花柄などが展開されているデザインのことを指し、ペルシア語でアフシャーン(ばらまく、撒き散らすの意)と呼ばれている。メダリオンを持たず、パルメットやロゼット、さまざまな花文様や、アカンサスに由来するといわれる葉文様、ドラゴン・ヘッドあるいは鹿の角と呼ばれる分枝モティーフなどが、蔓あるいは茎でつながってフィールド全面に展開される図柄である。かつてのヘラート独特の大柄な連花葉文様がアラベスク文様のように、細かく、躍動性をもつように変化してきた意匠である。

③-2.パネル文様 Panel design  

ヘシュティー

庭園文が様式化されてできたといわれるデザインである。矩形の格子柄で構成されることが多い。もともとは水路で区切られた庭園区画の描写が、時とともに細かい区画に分けられるようになり、やがて格子の中には様式化されたいろんな植物文がはめ込まれるようになったもので、ペルシア語ではヘシュティー(日干し煉瓦のような)と呼ばれるデザインである、この意匠を多く産する地域名(あるいは民族名)からバフティヤーリー・デザインと呼ばれることもある。ヘシュティーの語は方形に限らず、いろんな小間に分割された意匠にも用いられる。

③-3コンパートメント・デザイン compartment design  

ガービー/ヘシュティー

格子枠でなく曲線で囲まれた小部屋で仕切られた意匠は、コンパートメント・デザインと呼ばれることがある。ペルシア語ではヘシュティーと呼ばれる場合もあれば、ガーブ(額縁)に由来するガービーあるいは重複すればガーブ・ガービーと呼ばれることもある。縦に波状に曲線が流れて小部屋をつくるものは、あるいは菱形の小部屋が連なるものは、古典意匠の花瓶文様が様式化したもの、またカルトゥーシュが重なり合ったものなど、その解釈はさまざまある。

③-4.ジョウシャガーン・デザイン Jowshaghan design

菱形の反復文だが、枠をもたず、菱形のさまざまな花文様パターンが絨毯全体に配列された意匠である。これには、中央集中タイプのメダリオンを構成するものや、フィールドの構成要素として扱われるものもある。ジョウシャガーンや周辺のメイメなどの村の絨毯によく見られることから、ジョウシャガーン・デザインと呼ばれている。

③-5.反復花瓶文様 Repeated Vase design

ゼッロッソルターン

様式化された花瓶文が反復される図柄である。向かい合う鳥がセットされている場合も多い。ガージャール朝当時のエスファハーン総督のゼッロッソルターンに由来し、新しく生まれたこの意匠は工房の作品などにとくに好んで用いられる。マスウード=ミールザ・ゼッロッソルターンは、ガージャール朝第4代ナーセロッディーン・シャーの長子ながら妾腹の王子であり、数々の地方総督として歴任し、絨毯にまつわるエピソードも多い。

③-6.花鳥図  Flower and Bird design  

ゴロボルボル

ゴロボルボルとは、日本でいう花鳥図にあたる。ゴルとは花全般、狭義ではバラを意味し、ボルボルとは美しい声で鳴く鳥のことで、小夜鳴鳥(ナイチンゲール)、正確にはひよどりを指す。絨毯に現れるボルボルは華やかな色彩の美しい鳥全般を指している。

③-7.狩猟図 Hunting design

シェカールガー

シェカールガーとは猟場のことで、狩猟文様の絨毯をペルシア語でこのように呼ぶ。狩猟は帝王の王権を誇示するための行事であり、また貴人の嗜みとされたが、イランでは古くから人気の高い意匠である。ハカーマネシュ朝のアルタクセルクセス王の王室庭園は、パラダイスの語源ともなったパイリダエザ(猟園)であったし、パルティアン・ショットの振り向きざまの騎射も名高い。狩猟図はサーサーン朝のバハラーム・グールをテーマとすることが多い。バハラーム・グールとは、バハラーム5世(在420-438)のことで、狩猟を愛し、よくライオンやグール(野生のロバ)を野に追ったことから、この渾名がついたとされる。素養も幅広く、詩や音楽を愛した風雅の王として、よく絨毯の題材にされる。

③-8.ボテ反復文様 Repeated boteh design

ボテ・ミール

ボテ文が絨毯に現れるのは比較的新しく、18世紀末といわれる。小さなボテ文がフィールドあるいはボーダーを埋め尽くす意匠は、マーレ・ミールやサラーバンドによく見られるが、ボテ・ミールあるいはミーレ・ボテなどと呼ばれる。

その他の代表的意匠

◆四季図  Four-season design

チャハール・ファズル

ヘシュティーなどのコンパートメント(小間)やカルトゥーシュ(装飾枠)の中にイランの風景や四季の風物などを描きこんだピクトリアル絨毯。

◆土器文様 Relics design

ズィール・ハーキー   

ズィール・ハーキーとは字義通りには「地下の」を意味し、地中から掘り出した遺物を指す言葉である。ペルシアの遺跡から発掘される古い土器、陶器、リュトンなどを描いた意匠である。

ペルシア絨毯の代表的意匠

④ 絵画的意匠

Pictorial design / タスヴィール

絵画調(ピクトリアル)デザインのことで、よくピクチャーなどとも呼ばれている。物語のシーンを題材にしたもの、あるいはミニアチュールの図柄を取り入れた意匠の饗宴図や、風景図、名所図などのほか、西洋絵画と同じタッチの肖像画、静物画、風景がなども見られる。曲線をきれいに表現できる織り技術をもつ都市の絨毯にみられるデザインである。装飾文様的要素の強い狩猟図や花鳥図、樹木図などは構図の分類に含まれるのが妥当かもしれない。

 

◆饗宴図 banquet design 

ミニアチュールに描かれていたテーマやペルシアの抒情詩のシーンを絨毯に仕上げた意匠である。意匠の呼び名としては、具体的にその状況なり原典となる題名を意匠名とすることが多い。

 

◆肖像画 Portrait Design/ Famous figures / マシャーヒール

20世紀前半にケルマーンなどで流行した意匠で、歴代の王、西欧の著名な人物などを絨毯に織り込んだものである。マシャーヒールとは名士を意味する。

⑤ 幾何学的・部族的意匠 

Geometrical/tribal  ヘンデスィー/イーリヤーティー

これは構図の分類から外れるが、幾何学的、抽象的文様や部族民、遊牧民などの織る絨毯の意匠を別扱いとする場合もある。

 

◆トルクメン柄 Turkmen design

トルキャマーニー

北東ペルシアのトルキャマーン(トルクメン)がつくる絨毯は、ギュル(ギョーリ)の反復文で、ペルシア絨毯とは異なる部族民の意匠として区別されることがある。

ペルシア絨毯の構図と意匠

① 中央集中的意匠

② 一方向的意匠

③ 全体的意匠

 
 
 
 
 

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