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ペルシア絨毯情報

ペルシャ絨毯の製作工程

絨毯の製作にはさまざまな工程が含まれる。その製作工程を分析することで、絨毯を製作するための個別の技術的問題を検討することができる。絨毯づくりは都市、農村、遊牧社会と条件は異なる。そこで最も分業化の進んだ都市における絨毯づくりの製作手順を概観することからアプローチしてみる。

 1. デザインの作成

絨毯づくりの最初のステップはどのような大きさの絨毯をつくるか、どんな意匠の絨毯を織るか、そのデザインを起こす作業から開始される。都市では専門のデザイナーが、図案を線描き(ドローイング)し、さらに彩色(ペインティング)する。ドローイングdrawingとペインティングpaintingはそれぞれ別の才能が必要な場合もあり、専門化されている場合もある。このデザイン・スケッチをもとに、方眼紙に着色されたパイル糸の色を示す意匠紙が作成され、これをパーツに分け、厚紙や板に貼りつけて織り子に渡される。一方、遊牧民は、本来、図案は用いず、いわゆる「こころで織る」という習練した記憶を頼りに祖先から受け継いだ伝統柄を織り進めることとなる。

2. 素材の準備

絨毯は繊維製品である。だからまずは、絨毯の素材となる糸を準備しなければならない。都市では、すでに染められた糸を入手することも可能だが、これもゼロからの工程を考えると、素材の収集に始まり、それを加工し糸に紡ぐといった技術的問題が浮かび上がる。どのような素材を用い、どのような処理を行って、どのような太さの糸を用意するのか、が最初の課題となる。遊牧の世界で考えると、羊の飼育から羊毛の刈り取り、その洗い、梳き、紡ぎ、撚りという過程が必要となる。

(詳しくは ➡️ ペルシア絨毯の素材の頁へ)

3. 糸の染色

パイルとなる糸は、デザインに基づき必要となる色に染色される。染料の調合や色出しの技術は、代々受け継がれる染め職人の秘伝とされている。近年の工房絨毯では、昔ながらの天然染料を用いた草木染めを採用するケースが多くなっている。茜やコチニール、ザクロの皮、エスパラクなどの天然素材、青にはニール(藍・インディゴ)などが用いられる。もちろん化学染料も昔に比べ良質となっているので、適宜利用されている

(詳しくは ➡️ パイル糸の染色の頁へ)

色出しする染め職人​

染め糸を天日干しする職人

4. 織りの工程

意匠紙と染められた糸が準備されると、いよいよ織りの工程である。織り機にもいろんな種類があり、定住民は主に垂直機(竪機)を、遊牧民は水平機(地機)を用いる。まず織り機に経糸が独特の技法で張られ、織りの準備がなされる。パイルの織りは、この経糸にパイル糸を絡めることにより生まれる。そして緯糸は、経糸とともに織り組織をつくり、このパイル糸を押さえる役割をする。パイル糸の結び方や緯糸の通す本数にも種類がある。経糸に必要な色のパイル糸を絡めると、必要な長さに切断する。パイル糸を横一列結び終えると、緯糸を1本あるいはそれ以上通し、緯打具で組織を打ち固め、ハサミでパイルの長さを刈り揃える。この反復作業が織りの工程である。

(詳しくは ➡️ ペルシア絨毯の織りと品質の頁へ)

織り子と呼ばれる絨毯工房で働く女性たち

熟練した織り子は1日に8千ノット以上を織り上げるという。

5. 仕上げ

織りあがってもまだ絨毯の完成ではない。織り機から外し、耳やフリンジの処理、検品などがなされた後、洗浄される。かつては乾燥した大気の下、川や泉で洗った絨毯を一面に広げて乾かす光景もイランの各地で見られたが、最近は専門の工場で行われるようになった。もうひとつ大事な仕上げの工程が、全体の毛足を一様に揃えるための刈り込み作業である。毛足を揃える作業は織りの工程でもなされるが、こちらのシアリングshearingは、専門家が行うものである。

​織り上がった絨毯を洗うクリーニング工場の職人

絨毯の毛足を揃える職人

絨毯裏面の細かなムダ毛をバーナーで処理する職人

絨毯の歪みを補整する職人

絨毯の検品作業をおこなう職人

6.絨毯制作に関する補足説明

以上、工程を解説したが、これらの作業から絨毯の技法を抽出すると、以下のような検討すべき技術が考えられる。これまでペルシア絨毯づくりの現場では、それぞれの技術が師匠から弟子への口伝えであった。ここには学問的知識が介入することも無く、熟練した親方の経験というものだけが隠された最高技術として存在した。近年になり、さまざまな著作物にこれらの技術が取り上げられるようになり、やっと科学的な検討がなされるようになってきた。

① 意匠紙

意匠紙は、近年ではコンピューター利用に代わりつつある。タブリーズの絵画調絨毯などは、写真データを処理して、そのまま意匠紙として出力することもできる。ただ、この作業も機械的なものではなく、芸術であり、デザイナーの感性による作業として考える人もいる。織り手に対するデザインの指示は必ずしも意匠紙だけとは限らない。ヴァーギーレVagireh/Wagirehと呼ばれる、小振りの絨毯か絨毯の断片かと思われるものが、モティーフの織り見本となることがある。これを見てモティーフを織る際の見本としたり、商売の品質サンプルとして用いられたりもする。また、カシミール地方では、ショール織りの指示書であったタリムと呼ばれる、色と目数を記載したものもある。パキスタンなどでは親方が歌のように色と目数を朗誦して織り手に指示することもある

② 糸のつくり方

糸づくりは、まず原料の育成と採取から始まる。どのようなものをいつ採取するかが、ポイントである。続いて原材料の処理方法である。洗浄、梳毛、紡糸、撚糸などの工程を経て、素材となる糸を得ることができる。これも現代では機械による処理が進み、場合によっては輸入品で賄うこともある。この糸材料もその品質、太さ、密度、強度など基準となる計数理解も必要となる。

③ 染色技法

絨毯は染色されたパイル糸を組織に絡めて文様を織り出すため、糸を先染めして必要な色糸を準備しておかねばならない。染色は化学染料によるものと天然染料によるものがあり、必要に応じて媒染剤をはじめとする助剤を加え、濃度(分量)、温度、時間、染色回数などの条件を考慮して染め上げる。天然染料の場合、その種別、使用部位、そのまま使うのか、乾燥させるのか、あるいは粉砕するのかといった前処理も考えなければならない。代表的な天然染料については、その含有色素や染色機序も広く知られている。絨毯によっては数十〜数百色の色糸を使い分けるといった特殊なものもある。都市の絨毯では安定した色出しが欠かせないものであるが、遊牧世界では、染色条件は一定しないので、いわゆるアブラシュ(染め斑)のある絨毯が見かけられる。

④ 織り技法

織りは、意匠紙と必要な糸が与えられると始まるが、まず織り機の準備がいる。織り機の種類もさまざまあり、地域によっても異なることがある。最初の作業は整経である。これは経糸を織り機に取り付ける作業だが、同時に綜絖の仕組みを準備する。織り機の準備がととのった後、経糸にパイル糸を絡め、緯糸を通して組織をつくっていく手織りの作業に入る。この手織りの作業に必要な織り工具がある。地域によって異なるものもあるが、基本はパイル糸を切断するナイフと組織を打ち固めるための緯打具、それに表面を刈り揃えるためのハサミである。

⑤ 仕上げ処理

織り上がると、織り機から絨毯を外し、耳とフリンジの処理を行う。耳の処理とフリンジの処理も何通りかの手法がある。これで絨毯は完成し、織り手から離れることになるが、このあと検品やクリーニング、最後のクリッピングclipping(刈り込み)が行われることは前にも述べた。ペルシア絨毯では行われないが、他の生産国ではこの段階で、古い趣を出すためやウールに絹のような艶を出すために、いろんな化学的洗浄を施すことがある。

パーツに分けられた意匠紙と織り工具

デザイン紙に彩色する職人

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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