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ペルシア絨毯情報
PERSIAN CARPET
紀元前6世紀、メディア王国の都エクバタナとして繁栄し、続くアケメネス王朝の夏の都として栄華を極めた古い歴史を有するハマダーンは、テヘランから西に300キロ、イラン北西部屈指の商業都市として知られ人口およそ55万人。
この街は、また、ペルシア絨毯の一大集散地としても名高く、マライエール、ナハバンド、ツイセルカーン、ホセイナバード、ハムセ、ザンジャーンなど、ハマダーン州内外の数多くの絨毯が、この街の市場を通して、ヨーロッパをはじめとする諸外国へと送られている。
その多くはハマダーンの名を冠して販売されており、この絨毯も、そうしたものの一枚で、そのデザイン様式から、ハマダーン市周辺の、いずれかの町や村で製作されたものと見られる。
絨毯のメイン・モチーフとして用いられている六角形の幾何学的形態をもつメダリオン文の中心には、日輪などと称される吉祥文(幸福のシンボル)が置かれ、その周辺にはロゼット花文、十字文などが配置されている。
六角形のメダリオンを取り囲むように走るジグザクの鋸歯文やアウターガードの波形文は、部族民絨毯によく見られるモチーフのひとつで水に関連するともいわれている。
フィールド内やボーダーに点在する花文や生命の木、ボッテ文など様式化された様々なモチーフもまた、部族民絨毯によく見られる意匠で、それぞれ魔除けや長寿、子孫繁栄、降雨など、世俗的な意味をもつとされている。
サイズはペルシア語でドザルと呼ばれる中振りのサイズ
で、織り密度は1㎝角に6×6=36ノット。ペルシア絨毯の一般的指標では42ラージ相当のやや細かな織りの絨毯となる。
色柄のバランスもよく、部族民絨毯によく見られる織り斑と呼ばれる大きな歪みも見受けられない。
ハマダーン絨毯の中では、優品といえる一品だが、フリンジ部分が短く刈り込まれ使用痕が見受けられる。

数寄の絨毯33101/ペルシア
ハマダーン(ハマダン)幾何メダリオン文絨毯
約208x145㎝
¥108,600
後払いサービス対象品です。
商品登録情報
商品名ハマダーン幾何メダリオン文絨毯
品番/数寄の絨毯33101-32
生産地/イラン・ハマダーン(ハマダン)
製作年代/1990年代(経年20〜30年)
サイズ/208x145㎝
パイル/ウール
縦糸/綿
シングルウェフト
見かけ上の織り密度/1㎝角に6×6=36ノット
計算上の総ノット数/1,085,760kn
※knとはknot(ノット=結び)の略
手織り工程における所要製作時間/約608時間
(熟練工/織りスピード1時間あたり1,800knとして換算)
※1,085,760kn÷1,800kn=603.2時間
手織り工程における所要製作日数:約75日
※608÷8=75.4時間労働/日として換算)
単価評価:
¥180/1,800kn
¥100/1,000kn
販売価格:¥108,600
※1,085,760kn×(¥100/1,000kn}=¥108,576
※1,086時間×(¥100/時}=¥108,600
※単価評価
対象作品(絨毯)の1,000knあたりの評価額。
商品解説
ハマダーン・幾何メダリオン文絨毯:208x145㎝
ペルシア語でドザルと呼ばれる中振りの絨毯で、2人掛け、3人掛けの
ソファー前の中敷などにご使用いただけます。

ハマダーン(ハマダン)絨毯について
アルヴァンド山の麓1,800mの高地に開けたハマダーンは、ハマダーン州の州都であり、イラン屈指の商業都市として知られている。
ペルシアで最も古い都市のひとつに数えられるこの街は、ペルシアとメソポタミアをつなぐ途上にあり、ここからケルマーンシャー、そしてバグダードへと続く「王の道」の拠点として発展を遂げ、紀元前6世紀のメディア王国や、それに続くアケメネス朝ペルシアの夏の都エクバタナとして、その栄華を極めたと言われている。
エクバタナとは、「集合の場所」を意味し、ヘロドトス(古代ギリシアの史家)は、その著作「歴史」の中で、メディア王国の都・エクバタナは、ハフト・ヒッサール(7つの城壁)と呼ばれる強固な城郭を有し、千もの部屋があるバビロンの塔にも匹敵する壮大なものであったと記述している。
オリエント文明揺籃の地のひとつとして、様々な伝説に彩られてきたこの街は、また、西北ペルシア最大の絨毯産地としても知られており、この地方に数多く居住するクルド族の絨毯をはじめ、北はザンジャーン州から南はロレスターン州、東は中央(マキャズィー)州、西はケルマーンシャー州まで、広大な西北ペルシアに点在する、数百の町や村の絨毯の一大集散地ともなっている。
ハマダン織りで知られる…この地方の絨毯の特徴は、横糸1本のシングル・ウェフトの綿を地組織とした、トルコ結びの、やや長めのパイルにあるとされる。
織り密度は、500-1,600kn/dm2(1㎝角に3。やや粗めの織りとなっているが、耐久性に優れており、価格的にもリーズナブルなことから、実用に適した絨毯として欧米では高い人気を博しているといわれる。
カラーは古いものやアンティークでは、ラクダの毛あるいはラクダ色に染めたウールで織られていおり、近年のものは、赤、青、いろんな調子の濃茶、控えめの黒や白が文様や縁取りに用いられている。地組織は古いものやアンティークでは、たて糸、よこ糸ともにウールが用いられている。
近年のものでは、例外的に、よこ糸にウールを用いたものあるが、通常はたて糸、よこ糸とも綿が用いられている。デザインは六角形、多角形、菱形などの様式化された幾何学文を主文様とした単純で素朴ものが中心となっている。また、この地では、あらゆるサイズのものが作られているが、その中心となっていのは小さなサイズやランナー・タイプの絨毯とされる。
なお、市場に出回るオールドやアンティークのハマダーン絨毯は、通常ランナーか、ギャラリー・カーペットで、たまに町の工房でつくられた大きな部屋サイズのものが見受けられるといわれる。いずれも、そう複雑でないデザインをもち、ウール地組織とラクダ色のフィールドがひとつの典型となっている。天然の染色が施されており、稀少品かつ価値ある収集対象品として高い人気があるとされている。