PERSIAN CARPET

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ペルシア絨毯情報

 
 
 

1.織り機 Weaving Looms カールガー

織り機には、素朴なものから精巧なものまで、さまざまなサイズのものがあるが、基本となる原理に何ら変わりはない。織り機は絨毯の織り構造の重要なファクターとなり、経糸がしっかりと張れる安定した織り機が必要とされる。織り機は一般に移動式(水平機/地機)と固定式(垂直機/竪機)の2つのタイプに分けられる。カールガーという言葉には仕事場、織工房の意味もある。

①水平機(地機) Horizontal Looms ルーザミーニー

その名が示すように、経糸が地面に平行に張られるタイプのもので、もっぱら遊牧民の織り手に用いられてきた。遊牧民の絨毯は一般的に小さくなりがちである。組み立て、取りはずしが容易で、ロバやラバで運搬が可能な、移動に便利な材料と構造になっている。その分、経糸が緩んだりして、絨毯に歪みが生じる場合もある。近年では運搬手段がトラックとなり、金属パイプで枠組みを組み立てるということも行われている。

水平機で絨毯を織るトルクメンの母娘。

水平機で絨毯を織るガシュガーイー族の女性。

 

②垂直機(竪機) Vertical Looms ディーヴァーリー

こちらは主に都市や村で用いられる常設式のもので、その構造は水平機に比べると少し複雑になる。この機で織られる絨毯は水平機のものに比べ、デザインはやや緻密で、大きいサイズの絨毯を織ることも可能である。垂直機には次の3つのタイプがある。

◆固定式 Loom with a fixed cross beam

イランの町や村の機に見られるように、水平機を立てたような構造で、織り手は機に向かい台座となる板に座って織る。そして織り進めば台座が少しずつ上がっていく方式である。この種の織り機では、絨毯の長さは機の長さより短くなる。

◆回転式 タブリーズ方式 Loom with roller beams

経糸を上下の保持棒にローラーベルトのように輪状に巻き、回転させて織り上がった部分を背面にずらしていくタイプのもので、イランではタブリーズ方式と呼ばれている。この方式だと、織り機の約2倍の長さの絨毯を織ることが出来る。

◆巻き取り式 ケルマーン方式 Loom with mobile beams

あとひとつは、上部の経糸保持棒に経糸を巻き込んでおき、織りすすむと、下部の保持棒に織り上がった部分を巻き取っていく方式で、こちらはケルマーン方式と呼ばれている。ケルマーンでは、このタイプの織り機で、長い絨毯や何枚かの絨毯をまとめて織っている。

タブリーズの絨毯工房​

ケルマーンの絨毯工房​

 

2. 織りの技法

イラン全土に広がる主要絨毯産地において、絨毯づくりの基本はほぼ同じである。絨毯織りの織り始めでは、まず2〜4cmほどを、パイル糸を用いない通常の平織り、すなわちキリム織り(ゲリーム・バーフト)で織る。この段階の後、基本的な絨毯織りが始まる。意匠紙あるいは記憶に従い、必要なパイルの色糸を経糸に絡め、ナイフで切る。一列のパイル糸の結びが完了すると、1〜3本の緯糸が経糸の間を縫って通される。綜光が隣り合う経糸をお互い分かってくれるので、経糸の間に緯糸を通すのは容易である。緯糸の機能は、互いに圧迫し合うことと結びの部分を絨毯本体にしっかりと結合させることである。結びは、絨毯と一体化させるため特別な鉄の櫛(シャーネ)を使って上から下へと打ちつけられる。何段か織り終わると、特殊な鋏で注意深く毛足を刈り取る。絨毯の結びが終了すると、再び織り始めと同様、数cmのキリム部を織り、それから経糸をカットして織り機から絨毯を外し、地面に置くか、平板なシリンダーに取り付け、表面全体を刈り込み、平坦にする。仕上げ作業として耳とフリンジの処理を行う。

結び ノット knot  / ゲレ

手織り絨毯の組織では、隣り合う2本の経糸のまわりにパイル糸が結ばれ、その糸の端が突出して絨毯の表面を構成する、いわゆる毛羽がつくられる。この工程あるいは組織が「結び」、すなわちノット(ゲレ)といわれるものである。ノットの近接性や密度は、絨毯の精密さや耐久性に寄与し、単位面積あたりのノット数が増せば絨毯のデザインや文様は鮮明になる。ペルシアの絨毯づくりでは、2つの結びのタイプが用いられる。左右対称結びと呼ばれるギオルデス・ノットすなわちトルコ結びと、左右非均等結びと呼ばれるセンネ・ノットすなわちペルシア結びである。民族や地域により、また伝統的、慣習的にいずれかの織り方が採用されている。

◆閉鎖型・左右均等結び Ghiordes or Turkish knot   トルク・バーフ(トルコ結び)

この結びは、パイル糸を2本の経糸に巻きつけ、後ろを回って経糸の間を手前へ引き出す形にすることにより形成される。このタイプの結びは密着性の高い絨毯を生み出し、左右均等結びとも呼ばれる。トルコ結びはイラン北西部、主に部族民やアーザルバーイジャーン、コルデスターン( クルデスターン)、ケルマーンシャー、ハマダーン、ザンジャーン地方で用いられている。またタブリーズの織り職人が移住したマシュハドでも見られる。

 
 

閉鎖型・左右均等結び Ghiordes or Turkish knot  

トルク・バーフ(トルコ結び)

 

◆開放型・左右非均等結び Senneh or Persian knot  ファールスィー・バーフ(ペルシャ結び)

この結びはパイル糸を1本の経糸に巻きつけ、残りの経糸に絡めて引き出すことにより形成される。左右非均等結びやセンネ結びなどとも呼ばれ、経糸の右か左のいずれかに引き出される。この左開きと右開きの相違は、左利きと右利きの違いといわれることもあるが、ある民族に偏っている場合が多く、やはり織りの習慣の違いと考えられている。ペルシア結びは主にイラン東部、南東部、中央部、そしてマシュハド、ヤズド、ケルマーン、アラーク、ゴム、エスファハーン、カーシャーン、テヘラーンなどの都市で用いられている。

◆開放型・左右非均等結び Senneh or Persian knot  

ファールスィー・バーフ(ペルシア結び)/左開き

◆開放型・左右非均等結び Senneh or Persian knot  

ファールスィー・バーフ(ペルシア結び)/右開き

 

◆ジュフティー結び Jufti knot ジョフティー

いわゆる不正直な織り手によって用いられる詐欺的な結びとされ、左右均等・非均等結び両方にある。通常なら2本のところを4本や6本の経糸にパイルを絡めて織られる。絨毯を織り上げるスピードは速くなるが、貧弱な組織となり、文様の鮮明度はもとより密着性も耐久性も劣ったものとなってしまう。ペルシア語のジョフトは、一対、二重などの意味をもつ。ホラーサーンの絨毯などにも見られる

◆ジュフティー結び Jufti knot 

 
 

◆シングルウェフトとダブルウェフト Single Weft & Double weft

シングルウェフトとは、通常2本以上わたされる緯糸を1本にした簡便な技法。一般的なペルシア絨毯の場合、緯糸を2本以上わたすダブルウェフトと呼ばれる制作技法で織られているため経糸は上下となり、裏から見ても表から見ても、ひとつの結び目に対して目数はひとつしか見えてこない。シングルウェフトの場合、緯糸を1本しかわたさないため、すべての経糸が同一平面上に位置することになり、ひとつの結びに対して2つの目数ができることになる。結果、通常の2倍以上の速さで織り進むことができ、見かけ上の織り密度も細かく見えるが…ダブルウェフトで制作された絨毯に比べ脆弱で、強度や復元性に劣るとされている。ホーラサン・バルーチやパキスタン、トルコ、インドの一部の絨毯に見られる。

②耳の処理

絨毯の耳は最も傷みやすい部分であり、ここから緯糸が切れ、組織が崩壊する危険性もある。経糸もこの部分は2-5本をコードにしたり、別の太い糸を用意することもある。通常の織物だと、緯糸は端の経糸のところでUターンして単純に折り返されることになるが、絨毯の耳づくりの技法としては、次のようなものがある。

◆強化される耳

緯糸は端へくるとUターンするが、コード部分で何回かUターンを繰り返し、耳組織を強化したもの。

◆別糸を加える耳

緯糸とは別に、糸を緯糸の上から巻きつけたり、織り込んだりして耳を補強する。別糸に色糸を採用すれば、装飾性も出る。

◆付帯耳

織り組織の緯糸とは別の色糸を用いて、綴れ織り構造をつくり補強する方法。こちらも装飾性を演出できる。

◆耳の織り

 

③両端の処理

織り上がった絨毯を織り機から外すと、上下の経糸は切り離された状態である。この経糸は通常フリンジとして処理される。この処理の仕方には幾通りかの方法がある。

◆織り機から外されてループ状になっている経糸は、そのまま撚られて処理される場合が多い。(Twisted)

◆経糸を組織に戻す方法で、組織の中に経糸を入れ込む。またエッジの部分をそのまま折り込んで縫い合わせて固定する方法もある。(Returned)

◆隣り合う経糸を三つ編みのように纏めていく。(Brained)

◆経糸を数本まとめ、隣り合う経糸のグループを結んでつなぎ合わせ、最後は房としてたらす。(Knotted)

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