
数寄の絨毯 ppckm.net がお届けする
ペルシア絨毯情報
PERSIAN CARPET
ペルシア絨毯のトップクラスについて語られる時、しばしば掲げられるのがエスファハーンとカーシャーンの名である。カーシャーンはエスファハーンとテヘラーンのほぼ中間に位置し、古くから工芸の町として栄えてきたところで、陶器やタイル、絹織物など、様々な分野で、すぐれた作品をつくりだしてきた。このためカーシャーニー(カーシャー人)は、ペルシアの工芸分野では常に尊崇を集める存在であったといわれる。
また、この町はシャー・アッバース1世が愛した町としても知られており、サファヴィー朝当時、王室専用の絨毯工房が置かれ、誉れ高きカーシャーンの職人の手によって、高い芸術性を有する優れた作品が数多く作り出されてきたといわれている。今日、その一部をオーストリア工芸美術館所蔵の帝王狩猟文絨毯やロンドンV&A博物館のアルダビール絨毯、ニューヨーク、メトロポリタン美術館の絹絨毯などに、見ることができる。
カーシャーンは、絨毯工芸の分野では、今も第1級の絨毯産地であり、ウールのみならず絹製の絨毯も数多く造られている。サイズは街の工房ではあらゆるフォーマットのもの、部屋サイズの12㎡までのものがつくられており、カーシャーン郊外の村では通常ドザールと呼ばれる1.5×2.2mまでのものが数多く織られている。カラーは鮮明なブルーや赤、それにベ―ジュやアイヴォリーがフィールドに、装飾用にはいろんな色彩が用いられている。色調はかすかに輝きを保持しその優れた特質を示している。
デザインパターンは、オーソドックスな伝統柄、メダリオン文や総柄のアフシャーンのものが多く、メヘラーブや花瓶文、ピクトリアルなどがそれに次ぐ。地組織には縦糸、緯糸とも、素晴らしい紡ぎの綿か絹が用いられている。織りはペルシア結びの緻密な織りで、密度は2,000kn〜10,000kn/dm2(1㎝角に5×4=20knから10×10=100kn)。絹のものはさらに細かい織りのものもある。パイル素材には良質のウールが用いられ、良品ではコルク・ウールのものやデザインの縁取りに絹を用いたものなどが見受けられる。品質はペルシア絨毯でも最良のものに属し、丈夫で装飾性にも富む。よいものだと、とくに古いオールドやアンティーク絨毯には、高い資産価値があるとされている。

カーシャーン(カシャーン)は古くから工芸の街と称され、陶芸をはじめ染織、絹織物など、傑出した手工芸の技術を誇ってきた。絨毯制作においても、王室の絨毯工房が設置された16世紀サファヴィー朝以降、つねに主導的役割を果たしてきた。深い味わいをもつ赤と濃紺を主色に、落ち着きのある中間色を交えて織り上げられた本作も、こうしたカーシャーン(カシャーン)の優れた伝統を受け継いで制作された逸品と見受けられる。
図柄はゴルアーン(コーラン)の表紙の装丁に由来するといわれ、また、宇宙やイスラームの世界観を表現したものともいわれる伝統柄のメダリオン・コーナー・デザイン。
フィールドの中央には、ハシュト・ゴルと呼ばれる花文モティーフを核とした八芒星を中心にメダリオンが置かれ、その周囲を伝統柄のハーターイの花文モティーフが埋め尽している。四隅のコーナーには、カルトゥーシュとアラベスク花文のモティーフが置かれ、伝統的なメダリオン・コーナー・デザインの王道を確保している。メインボーダーも、細かな文様が密に織り込まれた、凝った意匠で、カーシャーン(カシャーン)らしい上質な絨毯に仕上がっている。
制作年代は1980年代。作品番号9084-138とペアで制作された絨毯と見做され、サイズは207x132㎝。織り密度は1㎝角に6×6=36kn(ノット)。ペルシア絨毯の一般的クオリティー指標であらわすと40RAJ相当で、それほど細かな織りの絨毯ではないが、文様は正確に織られており、カーシャーンらしい技術の高さを披露している優品であるといえる。

数寄の絨毯33239/ペルシア
カシャーン(カーシャーン)
メダリオンコーナー文様絨毯
約207x132
¥368,000
商品登録情報
カーシャーン(カシャーン)・メダリオン・コーナー文様絨毯:207x132㎝
ペルシア語でドザールと呼ばれる中振りサイズの絨毯で、2人掛け、3人掛けのソファー前の
中敷などにご使用いただけます。
商品名/カーシャーン(カシャーン)
メダリオン・コーナー文様絨毯
品番/数寄の絨毯33239-140
生産地/イラン・カーシャーン
製作年代/1980年頃(経年30〜50年/未使用品)
サイズ/207x132㎝
パイル/ウール
縦糸/綿
織り密度/1㎝角に6×6=36kn(ノット)
計算上の総ノット数/983,664kn
※knとはknot(ノット=結び)の略
手織り工程における所要製作時間/約984時間
(熟練工/織り手のスピード1,000kn/時として換算)
※983,664kn÷1,000kn=984時間
手織り工程における所要製作日数:約122日
984÷8=122(1日8時間労働として換算)
①基準単価:¥250/1,000kn
②百分率評価:150%
③単価評価:¥375=(①×②)/1,000kn
販売価格:¥368,000
※983,664kn×制作単価評価(¥375/1,000kn)=¥368,874
※①基準単価とは
作品価値の根拠(質と価格の関係)となるものを明確して、ご提案させていただくために、制作原価の約70%を占めるといわれる…織り職人の労働単価を基準ベースとして、本サイトが独自に算出させていただいた1,000kn(ノット)あたりの…ペルシア絨毯の標準的評価額
※②百分率評価とは、
ペルシア絨毯の標準的評価(①基準単価)と対象作品の現地評価、その差異を指数で表したもの。
③単価評価
対象作品(絨毯)の1,000knあたりの評価額。
<詳しくはコチラから>
商品解説
カーシャーン(カシャーン)絨毯について