
数寄の絨毯 ppckm.net がお届けする
ペルシア絨毯情報
PERSIAN CARPET

赭色(そほいろ/やや暗めの赤)のフィールドに対して、メインボーダーの濃紺が美しいコントラストを成す…カーシャーンのアフシャーン絨毯。左右相称だが天地は対称性をもたず一方向のデザインとなっている。複雑に交錯する蔓曲線の躍動するフィールドに、中心軸に沿ってメインのモティーフが並ぶ。左右は対称でありながら、天地に不均等なこのバランスは、絨毯の意匠の自由度を高め、蔓文にリズミカルな動きを与えている。
躍動する蔓文の間には、番(つがい)の鳥が数羽、左右対称に描かれている、イランでは花や樹木が表現主題で、鳥はそこに集う楽園の象徴物として登場することが多く、本作もそうした表現に添って制作された楽園図絨毯と見なされる。
以下、余談ながら…鳥は神の言葉を伝える吉祥の印として描かれることが多いが、番(つがい)として描かれる鳥には、明と暗、善と悪など、特別な意味が付加されることもあるといわれる。
なお、この絨毯のサイズは211x134㎝。ペルシア語でドザールと呼ばれる部屋敷きサイズの絨毯で、織り密度は1㎝角に6×6=36kn(ノット)。ペルシア絨毯の一般的クオリティー指標であらわすと40RAJ相当、それほど密な織りではないが、巧みに文様が織り込まれている。カーシャーンらしい技術の高さを示しているような作品である。

数寄の絨毯33247/ペルシア
カシャーン(カーシャーン)連花葉楽園文様絨毯
約211x134㎝
¥305,000
商品登録情報
カーシャーン(カシャーン)・連花葉楽園文様絨毯:211x134㎝
ペルシア語でドザールと呼ばれる中振りサイズの絨毯で、2人掛け、3人掛けのソファー前の
中敷などにご使用いただけます。
商品名/カーシャーン(カシャーン)・連花葉楽園文様絨毯
品番/数寄の絨毯33247-94
生産地/イラン・カーシャーン(カシャーン)
製作年代/2000年頃(経年15〜20年/未使用品)
サイズ/211x134㎝
パイル/ウール
縦糸/綿
織り密度/1㎝角に6×6=36kn(ノット)
計算上の総ノット数/1,017,864kn
※knとはknot(ノット=結び)の略
手織り工程における所要製作時間/約1,018時間
(熟練工/織り手のスピード1,000kn/時として換算)
※1,017,864kn÷1,000kn=1,018時間
手織り工程における所要製作日数:約127日
※1,018÷8=127.25(8時間労働/日として換算)
①基準単価:¥250/1,000kn
②百分率評価:120%
③単価評価:(①×②)/1,000kn=¥300
販売価格:¥305,000
※1,017,864kn×制作単価評価(¥300/1,000kn)=¥305,359
※①基準単価とは
作品価値の根拠(質と価格の関係)となるものを明確して、ご提案させていただくために、制作原価の約70%を占めるといわれる…織り職人の労働単価を基準ベースとして、本サイトが独自に算出させていただいた1,000kn(ノット)あたりの…ペルシア絨毯の標準的評価額
※②百分率評価とは、
ペルシア絨毯の標準的評価(①基準単価)と対象作品の現地評価、その差異を指数で表したもの。
③単価評価
対象作品(絨毯)の1,000knあたりの評価額。
商品解説
カーシャーン(カシャーン)絨毯について
ペルシア絨毯のトップクラスについて語られる時、しばしば掲げられるのがエスファハーンとカーシャーンの名である。カーシャーンはエスファハーンとテヘラーンのほぼ中間に位置し、古くから工芸の町として栄えてきたところで、陶器やタイル、絹織物など、様々な分野で、すぐれた作品をつくりだしてきた。このためカーシャーニー(カーシャー人)は、ペルシアの工芸分野では常に尊崇を集める存在であったといわれる。
また、この町はシャー・アッバース1世が愛した町としても知られており、サファヴィー朝当時、王室専用の絨毯工房が置かれ、誉れ高きカーシャーンの職人の手によって、高い芸術性を有する優れた作品が数多く作り出されてきたといわれている。今日、その一部をオーストリア工芸美術館所蔵の帝王狩猟文絨毯やロンドンV&A博物館のアルダビール絨毯、ニューヨーク、メトロポリタン美術館の絹絨毯などに、見ることができる。
カーシャーンは、絨毯工芸の分野では、今も第1級の絨毯産地であり、ウールのみならず絹製の絨毯も数多く造られている。サイズは街の工房ではあらゆるフォーマットのもの、部屋サイズの12㎡までのものがつくられており、カーシャーン郊外の村では通常ドザールと呼ばれる1.5×2.2mまでのものが数多く織られている。カラーは鮮明なブルーや赤、それにベ―ジュやアイヴォリーがフィールドに、装飾用にはいろんな色彩が用いられている。色調はかすかに輝きを保持しその優れた特質を示している。
デザインパターンは、オーソドックスな伝統柄、メダリオン文や総柄のアフシャーンのものが多く、メヘラーブや花瓶文、ピクトリアルなどがそれに次ぐ。地組織には縦糸、緯糸とも、素晴らしい紡ぎの綿か絹が用いられている。織りはペルシア結びの緻密な織りで、密度は2,000kn〜10,000kn/dm2(1㎝角に5×4=20knから10×10=100kn)。絹のものはさらに細かい織りのものもある。パイル素材には良質のウールが用いられ、良品ではコルク・ウールのものやデザインの縁取りに絹を用いたものなどが見受けられる。品質はペルシア絨毯でも最良のものに属し、丈夫で装飾性にも富む。よいものだと、とくに古いオールドやアンティーク絨毯には、高い資産価値があるとされている。