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ペルシア絨毯情報
PERSIAN CARPET
数寄の絨毯33193コレクションアイテムペルシア
シラーズ・ビクトリアル絨毯
おそらくガシュガーイー(カシュガイ)
約218x149㎝
¥147,000
商品登録情報
商品名/シラーズ・ガシュガーイー・ピクトリアル絨毯
品番/数寄の絨毯33193-41
生産地/イラン・シラーズ
製作年代/1994年もしくは1995年
サイズ/218x149㎝
パイル/ウール
縦糸/ウール
織り密度/1㎝角に3×3=9kn(ノット)
計算上の総ノット数/294,573kn
※knとはknot(ノット=結び)の略
手織り工程における所要製作時間/約295時間
(熟練工/織り手のスピード1,000kn/時として換算)
※294,573kn÷1,000kn=295時間
手織り工程における所要製作日数:約37日
※295÷8=36.875(1日8時間労働として換算)
完成までの所要時間:推定約3ヶ月
※織り機の準備から洗い・仕上げまで、本作完成までに要したと思われる制作時間
①基準単価:¥250/1,000kn
②百分率評価:200%
③単価評価:(①×②)/1,000kn=¥500
販売価格:¥147,000
※294,573kn×制作単価評価(¥500/1,000kn)=¥147,287
※①基準単価とは
作品価値の根拠(質と価格の関係)となるものを明確して、ご提案させていただくために、制作原価の約70%を占めるといわれる…織り職人の労働単価を基準ベースとして、本サイトが独自に算出させていただいた1,000kn(ノット)あたりの…ペルシア絨毯の標準的評価額
※②百分率評価とは、
ペルシア絨毯の標準的評価(①基準単価)と対象作品の現地評価、その差異を指数で表したもの。
③単価評価
対象作品(絨毯)の1,000knあたりの評価額。
<詳しくはコチラから>
商品解説
イスラーム世界の中でも、イラン(ペルシア)はとくに繊細さを愛し、しばしば繊細さを芸術そのものと見做す傾向が強く見られる。このためか、都市の絨毯工房では一定の織り密度や多くのデザインパターンが必要とされてきた。加えて、19世紀末からの欧米向けの絨毯需用が高まるにつれ、欧米の家屋のインテリアデザインにマッチした多くの色調が要求され、「販売価値の最高条件」という烙印がこの創造的、伝統的文化のうえに植え付けられてきた。
これに対して、自家用に制作された遊牧民や部族民の絨毯は、販売を意図せず制作されるため、その分自由で大らかに見える。また、遊牧民の多くは、意匠図などを用いず絨毯を制作し、時として興に応じて意匠や文様を途中変更することもよくあり、その結果、遊牧民の絨毯には、辻褄の合わない意匠や文様が見受けられることになる。シラーズ近郊に居住する遊牧民が手織ったと見られる本作も、そうしたものの一点と見られる。
本来、こうした絨毯は売り物とはならず、市場に現れることはないが、子供っぽい幸せな世界へと誘ってくれるユニークの作品として、コレクターたちの目に止まり、市場に出回ったものと思われる。
因みに、ぎこちないリアリズムで、本作に描かれた動物は馬と山羊。恐らく西洋絵画か他の何かを参考として制作したものと思われる。
ファールス地方の遊牧民にとって、動物は人を救う魔法の象徴とされ、より原始的なギャッベと呼ばれる素朴な織りの絨毯では、他の絨毯には見られない孔雀や鴨のような鳥、鹿やカモシカのような角のある動物、ライオンや豹のような猛獣、簡略化しすぎて正体不明の生き物などの描写もよく見受けられる。
この絨毯の織り手が、動物の形象を洞窟の壁に描いた先人たちと同じような思いで、馬と山羊を描いかどうかは分からないが、力強い動物を賞賛する文化がその背景にあり、こうした絨毯を作りだしたのではないか…とも思われる。
絨毯下部に制作年代を示すと思われるペルシア語の数字1373(イラン暦)が織り込まれているところから、この絨毯の制作年代1994年もしくは1995年と推測される。サイズは218x149㎝、織り密度は1㎝角に3×3=9kn(ノット)。20ラジ前後の粗め織りは、遊牧民の絨毯としては一般的。稀にしか出会えないユニークな絨毯という、ヴィンテージ評価も加わって、取引価格は若干高めとなっている。コレクション・アイテムとしては面白い作品なのかもしれない。
シラーズ絨毯について
海抜約1,600mの高地にあり、温和な気候に恵まれたシーラーズは南ペルシアの中心都市として古くから栄えたきた地で、ハーフェズやサアディーなどの詩人が愛でたバラの街として名高く、また、千もの庭園を擁する街としても知られてる。ファールス州の州都として、商業もよく発達し、伝統的な通商を基盤に産業も発展し、とくに絨毯の一大商業センターとなっている。
この地、ファールス地方での絨毯づくりの記述は、9世紀頃に遡り存在するが、街そのものでつくられたことはなく、シーラーズの名で絨毯が取引されはじめたのは、19世紀以降のことで、その多くはシーラーズ周辺の小さな町や村の工房か、遊牧民の織り機、あるいはそのあたりに定住した部族民、ガシュガーイー族やハムセ連合、ファールス州のロル族やアラブ系のグループによってつくられたものといわれ、そのほかアフシャール族やファールス州の絨毯がシーラーズを集散地として取引されてきたといわれる。
このシーラーズの街を通じて取引される南ペルシアの絨毯は1.5×2.2mまでの小さなサイズのものが大半で、例外的に8㎡を超えるものもあるとされる。
カラーは、赤、赤茶、赤-青、あるいは茶が主色となっており、これに対照色あるいは装飾色、縁取りの色が加えられている。オールドやアンティークでは、使い込んだ古い色調が生まれ、やや暗い外観を呈するといわれる。
デザイン・パターンは、花文や幾何学文、アラベスクなど多様性に富んでおり、多くの異なった部族の多様な源泉が南ペルシアの絨毯に比類ないパターンを与えている。
その中で、とくに好んで用いられるものは、小さな花弁や葉文様、ダイアモンド、多角形、小さな多様性に富んだ充填モティーフなどである。
ボーダーは、1本のメイン・ボーダーあるいは太さの同じ3本のボーダー、何本かのマイナー・ボーダーあるいはガードの縞柄を伴っているのが一般的で、シーラーズ周辺のガシュガーイー族のものでは、小さな長方形、時に花文のモティーフがパイル織りあるいは平織りで両端に織り込まれている。
織り組織は、たて糸、よこ糸ともに主に羊の毛、場合によっては山羊の毛が用いられる。
織りはガシュガーイーの良品を除けば、通常粗く、平均して900〜1,200kn/dm2(1㎝角に3×3〜3×4)程度で、ペルシア結び、トルコ結び両方見られる。
パイルは少し長いめか長く、その出自によるが、概して、異なったタイプの良質のウールが用いられている。
品質は、下級品から上級品まで全体として幅広いため、シーラーズの絨毯は注意深く選別される。オールドやアンティークのものは、装飾要素もあり、トップクラスに入り、投資価値のあることが立証されている。

シラーズ・ビクトリア文様絨毯:218x149㎝
ペルシア語でドザールと呼ばれる中振りサイズの絨毯で、2人掛け、3人掛けのソファー前の
中敷などにご使用いただけます。
